我慢と限界  ≪景時side≫





 およそ今まで“我慢”という事に疑問を抱いた事はなかった。
 暗殺していた時も、オレひとりが“我慢”すればと。
 戦でも。人を殺すこの手の穢れを“我慢”すればと。
 “我慢”というモノに苦痛を感じつつも、出来ない事はないモノ。
 そういう認識だった。

 だけどね〜。
 これが、ちゃんにだけは“我慢”出来ないんだよ。
 ほんっと、今日なんてギリギリ。
 限界点の存在を知った。

 つまり、オレは今まで“我慢”というモノは。
 この空のように。海のように。
 いつかは広い何かに吸い込まれるものと。
 そう考えていたんだよね。

 ところが!
 オレの我慢の入れ物って、コップ一杯程度か?
 そんな気がするくらい危ないモノだった。

 オレの暴走を止める事情がなかったら。
 初めてこの世界に来た晩に。
 隣で眠る君に無理を強いたかもしれない。

 二人で歩いている時も。
 君が笑っているから。
 よかった〜という思いがオレの行動を止める。



 二人しか居ないマンションの部屋で。
 君がしてくれた膝枕は、実の所拷問に等しい。
 頭の中では、しっかりコトを成し遂げていました。
 ちゃん、ごめんね。
 オレの頭の中で君は、白いコートも。
 ふわふわのとても似合う服も着ていなくて。
 君に包まれる幸せを勝手に感じてました。
 膝から伝わる体温だけで、ものすごい想像力の持主だよね。

 公園ではもっとギリギリで。
 泣いてる君が笑ってくれただけで。
 頭の中は、もう違うことを考えていた。
 うっかり口にするほどに。
 おもいっきりアヤシかったよね〜〜。
 ちゃんも、オレに聞き返すくらいだし。
 でもさ、“違う事”をとったら、“したい”しか残らなくて。
 気づかれたら大変だったよ。
 ちゃんと“えっち”、“だけ”を、“したい”わけじゃないんだけどさ。
 男の事情ってモノもあるわけで。

 手を繋ぐ時に伝わる体温じゃもう満足出来ないんだ。
 あ〜、ほんと。欲望には限りがないよ。
 初めて手を繋いだ時のあの感じが懐かしいくらい。
 
 それなのに。
 ちゃんは無防備にも座るオレの前に立つ。
 コート越しだけど、ちゃんの胸に顔を埋めた。
 オレの場所。ちゃんの鼓動が聞こえる。
 コートが憎い。この分厚い布が!
 オレの口は嘘つきだからね。コート“も”ふわふわと言ったけど。
 ふわふわなのはちゃんだけだし。
 ある意味誤魔化したかもしれない、うん。
 温度の他に感触が加わると、限界点は越えてたよ。
 外だったから。他人の目があったから。
 あの場で君を抱くことはなかったけど。



 避妊具はさ。いつでも何処でも持ち歩かないと意味ないね。
 もう何しても最後はソコへ思考が戻ってる。
 持っていたから何なの?ってのもあるけど。
 まただ。またあの話に戻る。
 場所とタイミング。
 
 どうなのかなぁ〜?
 ちゃんはどう思ってる?
 オレはね、もう我慢しすぎて大変。
 悪いけど、ちゃんとえっちする事しか考えてないよ?

 左腕に君が居ないのとか。
 オレに触れてくれる優しい手がないのとか。
 君の熱が恋しい。
 





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表の≪景時×神子に30のお題≫の続きの続き風です。

 あとがき:大変だね〜、景時くん(笑)もうしばらく待て!って事で。     (2005.6.19サイト掲載)




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