秋津  ≪景時side≫





 すっかり風が秋らしくなり、日が落ちるのが早くなった。
「秋津だねぇ〜。そうそう。ちゃん、これ苦手って言ってたな・・・・・・」



 いつだったかな。そう、まだ彼女がその手に剣を持っていた頃。
 垣根にいたもんだから、ちょいっと捕まえて。
「もう秋だね〜〜〜」
 季節の移りを知らせたくて見せたんだけど。

「蜻蛉は無理〜!無理なのっ。どうして動くのか理解出来ないぃぃぃ」

 物凄い速さでオレから離れていったっけね・・・・・・・・・・・・。ははっ。



 仕事の帰り道、のんびり歩く。
 他所の垣根に手を置いたまま、思ったより長い時間が経っていたらしい。
 手に蜻蛉が止まっていた。

「う〜ん。困った・・・・・・」

 手袋をしているせいか、微かな感触に気づかなかったらしい。
 困ったというのは、動くと蜻蛉が飛んでしまう。
 近くで見られないのは惜しいかなって、それくらいなんだけれど。



 帰れば笑顔で迎えてくれる彼女を思うと、早く帰る方を優先!
「秋っポイもの、何かないかなぁ〜〜〜」
 それでも、何か贈りたくて。
 周囲を見回しながら帰る。
 蜻蛉に限らず、虫は苦手みたいだからすべて却下。
 触らなければ平気って言ってたけどね。
 今は小さな無理もさせちゃいけない。



「なぁ〜いなぁ・・・・・・何かないもんかね・・・・・・」

 我が家はもうすぐそこまで近づいている。
 夕暮れ時に輝く一番星を見つけた。

「そぉ〜だ!思いついちゃったもんね〜〜〜」

 彼女の身体が心配だけれど。だからこそ、ソレを利用しよう。
 オレは手ぶらでも、今の思いつきを胸に家路を急いだ。



 一緒に・・・星を見ようって。
 秋で空が澄んでるからこそだよね!





 ちゃんがお風呂に入っているうちに準備。
 寒くないように〜。敷物をたくさん階に敷いて。
 ちゃんが被るものを用意。
 オレも寒くないように。

 最後に・・・・・・うん、うん!
 涼しくなってきたから、そろそろ許されるハズだ〜。
 二人で温かいのがイイ!
 
 

 大丈夫かな〜。いいよね〜?






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≪景時×神子に30のお題≫の続編風の続編風→京で二人の子供が?!

 あとがき:実は・・・だったんですよ(笑)可愛いなぁ、景時くんv     (2005.9.27サイト掲載)




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