目が点  ≪景時side≫





 何事も、餅は餅屋。
 弁慶は薬師。医術の心得あり。
 まさにオレの悩みの指導者たる人物。

「弁慶。ちょぉ〜っと相談あるんだけど」
「・・・・・・僕の部屋へ行きましょうか」
 黙って弁慶に着いて行った。



「・・・さんの診察をしろと?」
「いや・・・なんか・・・こう、わかる方法ないかなって」
 溜息を吐かれてしまった。

「方法も何も。“はねむーんべびー”なんじゃないですか?」
「・・・・・・・・・・・・」
 自分で言うのも何だけどさ。命中率高かったな〜〜。

「食べ物の好みが変ったとか、量が増えたり減ったりとかは?」
 そんなのないよ?今まで通り。
 変ったトコロといえば。
「すっごく不安みたいなんだよね〜。どうすれば不安じゃなくなるかなって」

「それなら。景時殿が浮気せずに真っ直ぐ家へ帰ればいいだけでしょう?」
「へ?」
 浮気?どうしてオレが?
 ここで何やら母上に言われた“真面目”という言葉が頭に浮かぶ。
 浮気が不安なんじゃないと思うんだけど・・・・・・。
 この不穏な“浮気”という言葉に、大いに反応してしまった。
 
「・・・景時殿の浮気が心配で不安というわけでは?」
「ない!それは断じてない!!!そうじゃなくて、お母さんになる心得とか」
「ああ。そちらですか」
 弁慶のいつものクスクス笑い。
 今までの会話で、面白かったところって・・・どこ?
「それならば、自然に誰でも親になるものですよ」
「いや、もっとこう具体的に準備するものとかさ」
 弁慶が肩を竦めた。
「景時殿の母上がいらっしゃるでしょう?ややこも取り上げてくれますよ」
「・・・・・・それだけ?」
「だけです」
 おかしい。オレが思うに、何かが変だ。
 そりゃオレも明日から父親って言われたら・・・不安だ。
 そういう事なら、時がこないと不安の決着はつかない。
 子供が産まれるその瞬間に不安が心配になるのか。
 杞憂に終るのかわかるってもんだよね。
 待てよ・・・・・・。

「さっきさ、“浮気”ってわざわざ言ったよね?どうしてなのかな〜?」
 そう、オレは引っかかっていた。
 恐らく、母上は遠回しに言ったのであろう。
 弁慶と母上の忠告の意味は同じと考えられる。

「・・・・・・景時殿は、わざと聞いてますか?知っていて聞いてるならいいんですけど」
 うむむ?知っていて?それはない。
「まったく身に覚えがないのに疑われるなんてさ〜、どうなのかなって」
 またも弁慶のクスクス笑い。むむむっ。
「夜の夫婦生活はお休みして下さいという事ですよ」
「夜の夫婦生活ぅ〜?」
 オレはバカみたいに繰り返した。
 夜だろうが昼だろうが、オレとちゃんは夫婦で生活してるよ?
 何言っちゃって・・・・・・あ・・・・・・。



 オレはこの勘違いの意味にようやく気づいた。
 そういう事。そりゃ疑われるよね〜。
 オレの我慢の日々の始まりらしい。
 





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≪景時×神子に30のお題≫の続編風の続編風→京で二人の子供が?!

 あとがき:駄目ではないらしいですね。安定したらソフトにならOKって。赤裸々すぎですか(笑)     (2005.6.14サイト掲載)




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