Merry・・・・・・ 前編 「・・・あぁ。もう十一時だねぇ」 「悪いな。金曜日だってのに」 フロアーでも明かりがついているのは田原のチーム周辺のみ。 クリスマス前の金曜日。それは、連休前でもある。 誰が好んで残りたいだろうか。 トラブルがなければ景時とて残りたくはない。 このような時に進んで残業を買って出てしまうのが景時の性格。 「金曜日とかはいいんだけどね。少し抜けていいかな?」 「あ・・・そうか。俺はコーヒー・・・・・・」 とにかく周囲に気を配る同僚の事。 景時がこれから何をしたいのかお見通しだ。 その手助けにもなり、同僚にも都合がいいとなれば答えはひとつ。 「お〜い!梶原がコンビニへ行くってさ〜。俺はコーヒー頼んだけど?」 田原が辺りで仕事をするメンバーに聞えるように叫んだ。 「・・・じゃあ・・・梶原君。これで頼んでいいかな?みんなコーヒーでいいのか?」 部長が財布からお金を取り出すと景時へ預ける。 「ほら〜〜〜。部長のゴチだってさ!」 またも田原が声を出す。 一斉にお礼の言葉が部長へと発せられた。 「じゃ、行って来ます」 「おう!気をつけて」 コートを手に取ると、人数を数えてからフロアーを静かに出て行く。 この残業は景時が所属する技術部門の仕事ではない。 景時のメインの仕事は技術職だが、その人あたりの良さを買われ、開発宣伝部と兼務をしている。 田原たちのチームこそが、営業部や広報部など外部との窓口になる部門の間に入る部署。 今回のトラブルは、広報部との意思疎通が不足していたのだろう。 カタログの技術内容の記載にミスがあった。 発見したのが開発宣伝部。 渡した資料が前のままで印刷されているのに気づいたのは田原だった。 ミスを発見した方が責任を被るというのも変な話だが、誰が今日に限って残業をしたいだろうか。 広報部は知らぬふりを決め込んで、全員さっさと帰宅してしまった。 間に合わないものはページの差し替え、新しいカタログが届いてからでいいものは発送の手配と、 それぞれが慣れない仕事をしていた。 コンビニへ向かいながら、携帯を取り出す景時。 「・・・心配してるかな・・・夕方メールしたきりだし」 四時に発覚した今回のミス。 今日はこちらでの仕事だった景時は、いわば巻き込まれだ。 いつものように研究所の方にいたならば、定時で上がれただろう。 数度のコールの後、の声がした。 「景時さん?まだお仕事?それとも・・・終ったとこ?」 「うん・・・もう少しかかりそうなんだ。ごめんね?夕飯食べた?」 に先に食べていていいというメールすら出来なかった。 ただ遅くなるという一文だけで、がどう受け取ったのかが心配だった。 「景時さんは?私は食べたよ」 「うん。食べた・・・かなぁ?」 食べたといえば食べた。いわゆる固形の簡易食だ。 「うふふ。変な景時さん。食べてないんですね?お菓子くらいなんでしょう?ダメですよ、そんなんじゃ」 「う〜ん。突然だったからねぇ。何もなくてさ。今はね、みんなのコーヒーを買い出し中」 コンビニには入らずに、その明かりがある駐車場で夜空を見上げて立つ。 「お使いなの?外は寒いでしょう?」 「うん。でも、眠気が覚めたからいいかな。えっと・・・先に寝てて?」 どうしても確認をしたかったのは、が夕食を食べたのかどうか。 告げたかったのは、先に就寝して欲しいという事。 「は〜い。景時さん。あまり無理しないでね?」 「うん。鍵は持ってるから安心して。戸締りはしっかりしてね。おやすみ」 が電話を切ったのを確認してから景時も電話を切る。 そして、人数分のコーヒーを買い込んで職場へ戻った。 「・・・終った」 「まだ真っ暗なんだな」 誰もが欠伸をしながら机に突っ伏す。 早朝と呼ぶに相応しい時間であるのにもかかわらず、まだ日差しがない。 冬の気配が濃い空に太陽が昇るのは、まだまだ後のようだ。 「始発までもう少しだな」 「う〜ん。帰るか」 重い身体を奮い立たせ、のそのそと立ち上がり始める。 「梶原君。すまなかったね」 部長が景時の肩を叩く。 「あ・・・いいえ。オレは両方の所属ですから」 「ありがとう。皆もな。お先!電車がない奴はタクシーで帰れ。領収証を貰っておくんだぞ」 コートを着込むと、部長が一番初めにフロアーを出て行った。 「わかりやす〜。あれ、後で掛け合うんだろうな〜。別にこっちの所為じゃないのにな」 各部門予算というものがある。 例外事項の経費には決裁がいるのだ。 普段飄々としているわりに根回しが上手い部長。 今回のトラブルも上手く上層部と掛け合うのだろう。 「大丈夫、大丈夫。一駅歩くと丁度良く始発って感じだから。オレは電車で帰れるから。じゃ!」 いつまでもいると、逆に気遣わせてしまう。 景時もコートを手に取ると、挨拶をしてフロアーを出た。 「景時!次の駅まで歩こう!!!」 信号を渡ったところで田原に呼び止められる。 「あ〜〜〜、こっちだっけ?」 「途中まで一緒。ただし、乗る方向は逆」 景時の記憶違いではない。 田原は歩くとすれば逆方向であるにもかかわらず、景時が帰る方向へと来たのだ。 「遠回りっていうか・・・遠ざかってない?」 「向こうへひとりで歩いて途中で寝ちまったら、誰が俺を回収するんだ?」 こういうところが田原らしい。 よって、景時も合わせることにした。 「誰だろうねぇ?・・・オレじゃないのは確かかな」 「うわ、ひどっ!今ならもれなくコンビニで何かゴチろうと思ってたのに」 「安すぎない?ちゃんが待ってたのになぁ〜〜〜〜〜」 景時がふざけながら息を大きく吐き出し、その気温の寒さをアピールして見せた。 「・・・だな。悪かったな。新婚なのに」 恐らく、これが本当は言いたかったのだろう。 「悪くはないけど。ちゃんへのお土産で手を打つよ?チョコレート」 結婚してからもの呼び方を変えない景時。 それが微笑ましく、田原も相変わらず待ち合わせの邪魔をしてからかってみたりしている。 「よし!コンビニにあるだけ買占めだな。全種類。ちゃんに悪い事したな〜〜〜」 「いや、いや。拘りがあるらしくて。今はね、冬季限定ってやつみたい」 何がといって、よくもここまで相手の好みを把握していると感心することすらある。 けれど、景時ならばそれも納得だ。 「了解。その冬季・・・ってやつ、それと適当に探すか」 田原はその約束通りにのためのお菓子を買い込み、それらを景時に渡すと駅で別れた。 「ただいま・・・って言いたくなっちゃうのは何故だ?」 大きな独り言、ややもすると自分にツッコミをしながらという状態で自宅玄関を開ける。 「うわ・・・部屋が暖かい・・・・・・まさか・・・ね」 マフラーをとり、コートを脱ぎながらリビングへ入る。 マンションなのでそう広いものでもない。 とはいえ、景時一人では広すぎる。 しかし、今ではと二人の家だ。それなりに物も増えた。 ソファーへ荷物とコートを置くと、暖房がついているのが確実にわかる。 「・・・これ、三時間で切れちゃうんだったよな?」 今時は親切にも消し忘れに対応しており、暖房器具は三時間で自動的に切れる仕組みだ。 それがついているということは、はついさっきまで起きていたということになる。 「・・・・・・しまったなぁ」 景時が帰宅しても出迎えはないのだから、は眠ってしまっているだろう。 足音を忍ばせて寝室へと向かうと、が小さくうずくまって転寝をしていた。 「ちゃん。ごめんね?遅くなって。風邪ひくよ?」 パジャマに着替え、その上からカーデガンを羽織った状態でベッドの上に転がっている。 せめて布団の中にいれば寒くなかっただろうに、小さく丸まっているを片腕で抱き、 空いている方の手で布団をベッドの半分までめくり上げて上手く寝かせる。 「ただいま・・・・・・」 ベッドの端へ腰かけ、軽くの頬へとキスをした。 すると、 「ん・・・おかえり・・・な・・・さい・・・・・・」 「ごめん。起こしちゃった?」 髪を撫でると、僅かながら目蓋が震える。 「・・・き・・・で・・・起きてたの・・・・・・」 「うん。もうね、朝なんだ。ごめんね?今日は・・・一緒に寝坊しようね?」 「・・・はい」 屈みこんで再びキスをし、が眠るように髪を梳き続ける。 呼吸が変わったのを確認してからその場を離れた。 「ふぅ・・・悪い事しちゃったな・・・・・・」 やや痺れている頭を振る。 疲れた身体に鞭打って、景時はシャワーを浴びてからの隣へ潜り込んだ。 もう少し、もう少しだけと、温かさの中でまどろみ続ける。 さすがにカーテン越しでも日差しの温度を感じる。 今日に限ってどうして目覚ましがならないのかと目蓋を開くと、景時が片肘をついた姿勢で を眺めている視線にぶつかった。 「おはよう、ちゃん。昨日は・・・あれ?今朝もかなぁ?ごめんね?心配かけて」 するりと景時の手がの頬を撫で、額へとキスをされる。 ここまできて、ようやくは昨日からの記憶を再生した。 「景時さん?!いつ帰って来たの?えっと・・・目覚まし!鳴らなくて、私、寝坊・・・・・・」 跳ねるように起き上がると、枕元の目覚ましに手をかける。 止めた記憶はないが、しっかりアラームはオフにされている。 「きゃーーーーっ!こんな時間!!!朝ご飯作ってな・・・・・・」 ベッドから抜け出そうとするの手首を景時が掴む。 「朝ご飯よりも。今朝約束したでしょ?一緒に寝坊って」 「え?私、起きてました?」 「うん。オレに返事したよ?」 会話らしい会話などしていない。 ただ、今の流れからしては景時の問いに返事をした記憶がない事が判明したのだ。 利用しない手はないだろう。 「え〜っと・・・でも、もう十一時だから・・・・・・お昼ご飯を作らないと・・・・・・」 「ふうん?お昼、外へ食べに行こうか?」 正直、と離れたくない。 心配をかけてしまった事に対する負い目も半分くらいはあるかもしれない。 ベッドの上で正座をしているへ腕を伸ばすと、懐へと引き入れる。 「あの・・・色々予定があるっていうか、冷蔵庫の中の都合とか・・・・・・」 「そう?じゃあ・・・オレが何か作ろうか?お茶漬け〜とか」 「やだぁ。昨夜の・・・あっ・・・・・・」 言いかけたが両手で口元を隠す。 「うん。ごめんね?昨夜、ちゃんはお茶漬けだったみたいだね。オレ、知ってるんだよね」 風呂上りに水を飲んだ時に、キッチンで気づいてしまった。 も夕飯らしい夕飯を食べていなかった事に。 「冷蔵庫のおかずでご飯にしよう。昨日の時間分。ね?」 「・・・ごめんなさい。何だか一人なんだって思ったら、食べたくなくなって。それで・・・・・・」 二人分用意してしまった食卓で、ひとりは寂しかった。 だから、すべて片付け一人でお茶漬けを食べ、ぼんやりと景時の帰りを待っていた。 暖かい部屋で景時を出迎えたかった。 「ん〜?ごめんはオレの方。出来たてを食べられなくて。でも、ちゃんの料理は美味しいからね。 温め直しても問題な〜し!」 「もう!お世辞ばっかり。景時さん、ちゃんと寝ました?」 が目覚めた時に起きていた景時が、眠ったかどうかが気になる。 少しばかりやつれて見える頬に手を伸ばした。 「うん。ちゃんの隣に潜りこんじゃって、悪いかな〜と思ったんだけど、ベッドが温まっていてさ。 うっかりそのまま眠っちゃって。目覚ましはオレが犯人。寝る前に止めたから鳴らなくて当然!」 「・・・お休みだからいいけど。本当にお寝坊したら大変なんだから」 景時の鼻をつまみあげる。 「・・・にゃ・・・るし・・・気をつけマス」 一応は反省の色を見せつつ、それでいてを抱き締め大きく一呼吸。 「ふう。生き返った。そう、そう。田原さんがね、ちゃんにってチョコレート買ってくれた」 「私に?」 「うん。オレの残業慰労」 「景時さんにじゃなくて?」 景時の残業慰労が、何故にへのお菓子に変わるのか? 「そりゃあ・・・オレがちゃんに心配かけちゃったんだし。これで喧嘩になったら可哀想って事で」 「・・・ならないですよ、喧嘩になんて。心配するのは・・・したいからするの!さ、起きましょう」 「や〜だねっ!もう少しだけこのまま・・・・・・こうしていようよ」 まったくもってを放す気はないらしい。 景時の腕はしっかりとを抱き締めたままである。 「・・・お昼、過ぎちゃいますよ?それにぃ・・・昨夜も、今朝もご飯食べてないんですよね?」 「ご飯よりちゃんが食べた・・・・・・」 景時の言葉は最後まで口から発せられることはなかった。 何故ならば、見事に先を読んだにより、口を塞がれたからだ。 「朝から何を言っちゃってるんですか〜〜〜、このお口は!!!」 「いっ、いひゃい・・・いひゃいよぅ・・・・・・」 に頬を摘まみ上げられ、これでもかと言うほどに横に伸ばされている景時。 言葉は聞き取り不可能だが、痛みを訴えているのだろう。 「さ。起きましょうね?お掃除もしないといけないし、何よりクリスマスのお買い物も!」 「は〜い。今年はどうしようか〜〜〜」 名残惜しいのか、起き上がってもの背中にへばりついている景時。 「お家でご飯ですよ?決めてあるんです。ただ・・・ちょっとだけ買いたいものがあるの」 「ふうん?」 レストランを予約してのディナー案はすでに却下されていたのだから、家でというのは予想の範囲だ。 ただ、どうしてこうも家に拘るのだろうとは思っている。 (オレの・・・所為なのかな・・・・・・) 異世界から来た景時のために、こちらの世界の行事や一般的な事を避けているのだろうか。 ふと考えたことがないわけではない。 行事を無視しているわけでもないのだが、かといって、の年頃の行事の過ごし方とも違う気がする。 何がと言われると困るのだが、景時が仕入れてくる知識との行動はあまりにも違うのだ。 「あの・・・ちゃん?」 「何ですか?今日はたくさんお買い物をするんですから。荷物もちさんなんですからね?」 頬にキスされ誤魔化されてしまった景時。 これ以上の質問は受け付けられないのだろう。 何故ならば、はさっさと起きだして寝室を出て行ってしまったからだ。 「はぁ〜〜〜っ。オレって・・・空回りさ〜んだよね、相変わらず」 まだ整えていない髪をかき上げ、胡坐になって溜息を吐く。 将臣に聞いてもバイトで忙しいと相談にのってもらえなかった。 譲もどういうわけか忙しいと、珍しく景時の相談にはのってもらえなかった。 会社ではドタバタで同僚や田原に尋ねる余裕もなく、そうして昨日の残業だ。 誰にも相談できずに迎えてしまったクリスマスの連休。 のそのそと起き上がり支度を整えた。 「さ〜て!お買い物しますよ〜〜〜」 「ちゃん?え〜っと・・・何を買うのかなぁ?」 少なくとも食料ではなさそうだ。 何故ならば、景時とが遅めの昼食を食べている時に配達されてきたからだ。 「今時って、小分けでパックで便利になってますよね〜〜〜」 届いたダンボールを開けて、うっとりと溜息をつく。 想像通りの品が届いたという事なのだろう。 それにしても、食材を配達で調達したのならば、他に必要なモノが残っているのだろうかと、 景時はまたも疑問が湧いてくる。 「え?だって、一緒に決めなきゃなもの、何一つ買ってないんですもん」 「へ?一緒にって・・・・・・」 昨年と同じショッピングモールに着いた早々にに手を引かれて連れて来られたのはキッチン用品売り場。 「ぜ〜ったいにコレがあると便利!ホントに」 カトラリーのセットの前で腰に手をあて宣言をする。 確かにスプーンやフォークは便利モノだと思う。 けれど、それらは既に家にあるのだ。 「景時さん!どれがいいと思いますか〜?」 が指す段に置いてあるセットの中からという意味なのだろう。 いずれにしても、新しいのが欲しいというのならばと、出来るだけが好きそうなモノを選んで示した。 「これですか〜?どうかなぁ・・・う〜ん。これかぁ・・・・・・」 何が気に入らないのか、が腕組みして考え込んでいる。 「いや、別になんとなくこれって思っただけだから・・・・・・」 「だって、景時さんが好きなのがいいんですもん。これ・・・なんですよね?」 に見上げられると嘘がつけない。 正直に言うと、景時が好きなのは何もないデザインの方だ。 そろりと指の方向を変えると、も納得したのか大きく頷いた。 「じゃ、これにしましょう!次は、食器。あ。コーヒーのミルとフィルターとサーバーもいるのかな? あとはドリッパー・・・・・・」 指折り数えながらはキッチンフロアーを制覇していく。 それでいて、買いたい物のデザイン等は景時に選ばせるのだ。 わけもわからぬままでの後を追う景時。 「さぁ〜てと!ここからはちょっとだけ別行動ですからね。景時さんはマスターに豆を頼んで下さいね。 すぐに飲むのは挽いてもらって、とっておくのは豆のまま。マスターには連絡してあるから、たぶん 大丈夫なの。詳しくは電話で聞いて下さい。私は・・・ちょっとだけあの売り場に用事があるの」 が指差したのは女性用下着売り場。 思わず景時は赤面してしまう。 「う、うん。わかった。あの・・・電話終ったら下のカフェで待ってるから・・・・・・」 「わ〜い!すぐに行きますね。この前、色がなくて注文していたものだから、受け取りだけなの」 軽く駆け出すの背を見送ると、フロアーの端にあるベンチに腰かけて景時は携帯を取り出した。 数度のコールの後、聞きなれたバイト学生の声がする。 「あ、梶原です。あの・・・・・・」 向こうはすべて知っているのか、すぐにマスターに替わられてしまった。 「景時か?お前の好きそうな豆を多目に仕入れておいたが・・・念の為確認してくれ。こっちは休みナシで 営業だから、違う豆を選んでも困らない仕入れはしてある」 「・・・は?そんなにたくさん?」 休日には景時がミルで豆を挽いてコーヒーを淹れたりする。 けれど、と二人暮らしだ。そう大量には必要ない。 色々な店でコーヒー豆を買ったが、焙煎までしてくれて一番美味しいコーヒーが出されるのは、 待ち合わせで利用するマスターの店なのはも知っている。 (それにしたって・・・変なんだよなぁ・・・・・・買い物からして) 確かに景時と買い物をしたかったのは頷ける。 それだけの重さと量のあるモノばかり購入しているのだから。 「・・・・・・じゃあ、いつもの三種類。ただし、ブレンド多目がいいな〜。帰りに行きます。買い物中 なんですよ、まだ。ちゃんがなんだか張り切っちゃっていて」 「そうか・・・用意しておく。少しは時間あるんだろう?」 マスターは自分の予想通りの注文にご満悦。 さらにはが来てくれたならデザートもサービスしたいところ。 「もちろん!三人席予約でお願いします。去年も座ったあの場所を!」 「了解!もう大谷が予約のツリー置いてるさ」 電話の向こうの弾む声に、景時も嬉しくなる。 「やだなぁ〜〜〜、照れちゃうよ」 「ば〜か。さっさと荷物持ちしてこっちへ来い」 「了解!」 無愛想と評判のマスターも、何故か景時とには親切だ。 何でも素直に尋ねる二人を、突っぱねられる人間はそうそう居ない。 「待てよ・・・オレだけ知らされていない感じだな・・・・・・」 マスターも何かを知っている風だ。 買い物の内容からは推測できない何かがあるようだ。 ふと将臣に電話をかけてみるが通じない。譲にかけても通じない。 「・・・なんだろうね?抜き打ちパーティーとか?あの二人がサンタの格好で来たら驚きだなぁ」 将臣サンタに譲トナカイを想像し笑いを零す。 「ま!何にしても、お楽しみは後で〜ってことかな」 そのまま気にせず先に待ち合わせのカフェへと向かった。 下着売り場をすり抜け、待ち合わせをしていた二人と合流する。 「将臣くん!譲くん!ありがと。ここ、ちょっと恥ずかしかった?」 女性用品のフロアーの対角にあるとはいえ、雑貨屋さんの前で待ち合わせである。 男二人が立っていれば、嫌でも目立ってしまう。 「・・・仕方ない。景時に見つかったら意味ねぇし。で?そっちは買ったのか?」 「うん!お母様と朔のプレゼント。お母様のカーディガンの色、入荷間に合ったの!」 嬉しそうに大きな包みを譲へ手渡す。 もうひとつは朔の分だ。 そして、将臣たちもそれなりに荷物を持っていた。 「で?みんなの分は買えた?」 「おう!まとめてフリース。ついでに手袋とマフラー。全員色違いでおそろいだ」 の肩が下がった。 「・・・微妙なセンスだよ、それ」 「いいって。温かくて驚くから見てろ。じゃ、これ預かって一足先に行ってるからな」 「ありがと!私たちもすぐに行くから」 手を振って二人を見送ると、小さな手荷物だけ持っては景時と待ち合わせの店へ向かった。 「お待たせ〜、景時さん。ちょっと時間かかっちゃった。だって、あちこちみてたら可愛くて」 手ぶらだったがいくつも荷物を持っている。 「大丈夫。本を読んでいたから。マスターがデザート食べに来て欲しそうだったよ」 「わ〜い!この前の待ち合わせの時にね、ちょこっとお話してたの。冬って暖房でお部屋にいると暑い でしょう?ふるふるのオレンジゼリーとか美味しそうですよね〜〜って。クリスマスだからって、ケーキとは 限りませんよねって言ったら、そのアイデアいただきって言われて。何か新しいデザートかも!」 テーブルに身を乗り出して景時に説明する。 何が不思議といって、がカウンターに居る時には話し相手になってくれるらしいマスター。 年齢差を考えると話は合いそうもないが、何故かを大切にしてくれる。 「そうなんだ〜。じゃあぜひとも食べにいかないと。他に買い物はいいの?」 「ん〜と・・・後は・・・・・・たぶん大丈夫です」 「よ〜し!じゃ、後はマスターのところでオシマイ」 車に買い込んだ荷物をのせると、マスターの店、つまりは景時の会社の傍まで向かった。 「こんにちは〜〜〜!」 二人が店の扉を開けると、バイトのウエイターがすぐに席へと案内をしてくれた。 「ご注文は?」 「お任せで。だって、選んでも違うものが出てきそう」 景時のオーダーに、バイトが指を鳴らして笑い出す。 「アタリ。無視しろってマスターに言われてる。それでは、本日のお任せデザート付コースということで」 伝票に記入もせずに戻って行く後姿をが笑う。 「いっつもあんな風ですよね〜、大谷さんって。マスターもね、笑ってるの。調子がイイって」 「う〜ん。田原さんに似てる・・・・・・」 「きゃはは!そうかも。だからかなぁ?とっても話しやすいの」 人を待つ時間というのは退屈だったり、居づらかったりするのだが、ここは違う。 景時を待つのにまったく苦にならない。 誰もがに声をかけてくれるし、さりげなく知らないフリもしてくれる。 その気遣い加減がとても心地よい。 「なんだかオレの周り、田原さんタイプが多いかも・・・・・・」 「うふふ〜。景時さんも同じだからですよ〜だ」 が景時の頬を指先でつつく。 景時の隣は居心地がいい。それは景時の人となりによるものだ。 だからこそ、同じ雰囲気の人が集まるのだろう。 「そうかなぁ?あんなに気配りさんじゃないけどなぁ〜〜〜」 さり気なくの片手と手を繋ぎ、片肘で窓の外を眺めている景時。 「あの・・・景時さん?」 「なあに?ちゃん」 少しばかり恥ずかしいが、景時は気にしていないらしい。 「・・・何でもない」 「そ?」 嬉しいので、何となくそのままでいた。 「さすが新婚さんは違うな〜〜〜、梶原サン」 景時の肩へ重みがかかる。 大谷が景時の肩へ肘をついたためだ。 「か〜もねぇ〜。だけどさぁ〜、可愛い奥さんだと心配が増えるんだよね〜」 「そりゃあ・・・悩ましいな。まぁ・・・待ち合わせは当店でってことで。お待たせしました」 プレートをの前へ先に置く辺り、上手い計らいである。 「わぁ!ふるふるゼリーがハート!!!」 が手を合わせて喜びの声を上げる。 「それね、評判いいんだ〜。味はオレンジとルビーグレープフルーツでさっぱり。そっちの プリンアイスが甘いから、丁度イイって。で、仕掛けはレアチーズにアリ!」 軽い口調でいながら、しっかりデザートプレートの説明を終える大谷。 のフォークがレアチーズケーキを切り分けると、赤いソースがスポンジの間から零れ落ちる。 「きゃ〜!クリスマスカラーになるんだ〜」 飾りの葉の緑、ケーキの白は雪、ソースが赤のクリスマス演出。 ゼリーのオレンジ色が温かさとハートを表現してさらに目を楽しませてくれる。 「この小さなお皿によく思いつくよねぇ・・・・・・」 景時はカプチーノをひとくち含み、感嘆の声を漏らす。 「アイデアはちゃんだがな?ここでいいかな」 空いている席にマスター自らコーヒー豆が入った袋を置いてくれた。 「こんにちは〜、いつもすみません」 「こんにちは!ありがとうございました!」 すかさずがお礼を述べ、小さな紙袋を手渡す。 「これは?」 「めっちゃ可愛いんです。絶対可愛い。だから、眺めて下さい」 マスターがすぐに包装を解くと、小さな写真集が現れる。 ヨーロッパの街角で色々な風景を撮っているのだが、なんとも可愛らしい一コマばかり。 とくに店先の一コマは、小さなものが可愛くディスプレイされている。 「ほう・・・こういうものがあるんだね?」 「そうなんです!こういうワクワクが大好きなんですよ?女の子は〜」 デザートの話になった時に、は自分が考えている事を見せられたらと。 それがこの写真集に集約されていたのだ。 「ありがとう、ちゃん。デザート、もう少し研究させていただくよ」 「大丈夫です!美味しいんだから、あとはちょこっと可愛くしたらOLさんにもっと大人気!」 それなりにデザートの注文はあるが、評判の・・・とまではいかない。 シンプルすぎるのだ。 昨年のが憧れていたデザートは、バイトの大谷のアイデアだったらしい。 見かけに寄らず菓子作りが好きだというマスターの相談にのった。 可愛い写真集をクリスマスプレゼントにした。 「う〜ん。これ美味しい。ゼリーってこういうのもあるんだ」 景時もプレートのゼリーへスプーンを伸ばす。 「・・・甘くない方がいいとアイツが言うから」 マスターがカウンターにいる大谷へ視線を送る。 「へぇ〜。センスいいなぁ。作る方も考える方も。食べるのが一番楽〜ってね。美味しいし」 小腹が空いていた景時。 さくさくとスプーンが進む。 「・・・景時は美味しそうに食べるし、楽しそうだな」 「え?楽しいですよ。ちゃんとデートしてるんだし。コーヒー美味しいし。デザートは 甘いだけじゃなくてバランスいいから疲れないし」 マスターが笑いながら景時の肩を叩く。 「もう少しゆっくりしていけ。何か飲み物を、もう一杯サービスするから」 「わ!ありがとうございます」 なんとも素直な態度が心地よく、マスターは写真集を眺めながらカウンターへ戻っていった。 「う〜ん!大満足〜。そうだ!これ、渡すの忘れちゃった。ちょっと行って来ますね」 がもうひとつ持っていた紙袋を手に、大谷の方へと歩いて行く。 何となく眺めていると、その袋は大谷へと手渡される。 「大谷君にプレゼントかぁ・・・・・・」 考えてみれば、本日は二人で店を切り盛りしているようだ。 実際、この時間になると景時たち以外に客はいないのだから、手は間に合ったのだろう。 「そういう顔はしないでやってくれ。大谷にゃ悪い事しちまってな。あれはちゃんの気遣い」 店を閉める準備をしながら、景時たちの席へマスターが近づく。 その手には新しいカプチーノと紅茶のポット。 それらを二人のテーブルへ置くと、隣の席から椅子を引き寄せ、景時の隣に腰かけた。 「ちゃん、今日のお店は二人って知っていたみたいですね?」 「お前は本当によく見てるな。今日は金子君の予定だったんだが、急に実家に帰ると言ってね。 大谷が代わりに入ってくれなかったら午後から一人だったよ。約束があっただろうに」 と紙袋の押し付け合いをしている辺り、受け取りを拒否しているようだ。 「ちゃんって、こう・・・空気を柔らかくしてくれて。ふわふわの綿菓子みたいなんです。 大谷君の件も、オレに待っててっていって、こっそり買いにいったみたいだし。・・・・・・ま、 それはそれとして。そろそろ白状しちゃって下さい。オレ、朝から何が何だかわかんないまま なんですよね〜、イロイロと」 コーヒーが入っている紙袋を指差す景時。 一方のマスターは、笑いたいのを我慢しているらしい。 顔が微妙な歪みを見せている。 「言ったら俺がちゃんに叱られる」 「へ〜〜〜。叱られちゃう内容なんですかぁ。何だかヤキモチだな〜〜〜」 景時が肩を竦めた。 「・・・お前、実家遠いんだって?」 「へ?遠いっていうか、遠くてどうにもっていうか・・・・・・まさか」 景時の表情が真剣なものに変わる。 「そうだ。それに、コーヒーメーカーを使わないで美味しいコーヒーが淹れられる道具を教えて くれといわれてな。今日はその買い物だったんじゃないか?」 コーヒーメーカーでは電気が必要なのだ。 景時がいた京の世界でコーヒーを飲むならば、電気なしでドリップができる道具が要る。 まさに本日の買い物と繋がった。後はお湯があればいいのだから。 「うわ〜、種明かししちゃってイイの?」 「秘密だぞ?今晩拉致される準備をこっそりしておけ」 口へ人差し指をあて、秘密という仕種の後にマスターが席を立つ。 入れ替わるように大谷が逃げてきた。 「梶原サン。助けてよ〜、ちゃんが怖い」 「いや、ちゃんは可愛いんだって!」 マスターが立った席に大谷が座り、から避難してきた。 頬を膨らませたも戻ってきて、景時に袋を手渡す。 景時も心得たもので、その袋を大谷へと渡した。 「え〜〜〜、梶原さんまで?!」 「そ。このカプチーノのお礼。これ、大谷君でしょ?オレ、いくらでも味見するから練習しなよ。 マスターのと区別がつかなくなれば一人前。でしょ?」 返されないよう、景時の手はすぐにコーヒーカップを持ち、残りを飲み干す。 「・・・やっぱチガウ?」 「まったく違う。あはは〜。なんて正直なオレ」 ひらひらと手を振りながら正直に、それでいて嫌味なく大谷に評価を伝える。 「がっくり・・・見た目同じだと思ったのに」 大谷が溜息をついている隙に、が景時へ耳打ちする。 「でさ。今日はお店閉めたらそれ持って、彼女に会いにいきなよ?オレたちからのクリスマス プレゼントだから。限定シュトーレン、欲しかったんだって?」 が買えたのは、昨日のうちに整理券を持っていたからだ。 そうでなければ買えはしない。 昨日マスターに電話をした時に、バイトのシフトを聞いたのだ。 いつも親切にしてくれるこの店の人たちに何かプレゼントをしたかったのだが、その何かが変わった。 大谷なら、彼女へのクリスマスプレゼントを相談された時に話に出た菓子にしようと思ったのだ。 「梶原さんからの・・・か。ご利益ありそう。じゃ、遠慮なく」 「そうこなくっちゃ!にしても、ご利益?」 を見ると、俯いて笑っている。 「そ!ご利益。梶原サン、ぼ〜っとしてるのにこんなに可愛い嫁さんgetしてるから。梶原サンを 拝むと、可愛い彼女が出来るってウチのバイト仲間のおまじないってヤツ?」 「ぼ〜っとって・・・確かに。けど、オレを拝んでもなぁ?」 「みんなしてるよ?店内で梶原さんの後ろ通る時」 は知っていたらしい。 二人で座っている時に、いつも拝まれていたという事なのだろう。 「・・・・・・拝む前に彼女を追いかけろとしかいいようがない」 「追いかけたんだ?」 「そりゃあ、今でも。だってさ、逃げちゃうんだから」 大谷が紙袋を掲げてに頭を下げながら、 「逃げちゃうの?」 「だって、いつまでも追いかけてくれるって。そういうの嬉しいんだもん」 が景時の腕にしがみ付いた。 「だ〜めだ、ここ。拝む先間違ったな〜。俺も今日は彼女に謝って、追いかけます宣言するか」 大谷が食器を下げながらカウンターへ戻った。 「間違って拝まれて、どうしよう?」 「あはは。どうしましょう?私も拝んでみようかな?」 が景時に向かって両手を合わせる。 「いや、いや、ちゃんは違うな〜。・・・そろそろ帰る?」 「え〜っと、そうですね。もう夕方だし」 家を出た時間が遅いのだから、夕方なのは仕方ない。 この後の予定を隠しているとしては、帰るのに大賛成。 「色々ありがとうございました。また来ます」 「いつでもどうぞ。そのうち大谷もアレ、できるようにしごいておく」 どうやら大谷はバリスターを目指しているらしい。 「そう?じゃあ、オレの時は大谷君ってことで。マスターのと二杯だっていけちゃうね!」 支払を済ませると、と手を繋いで店を後にした。 二人を見送りながら大谷が呟く。 「マスター。梶原さんって、ひょうひょうとしてるけど仕事できそうだよね〜?」 「だろうな。お前のカプチーノ、飲んでくれるとさ。しっかり練習しろ」 ただ練習しても上達はしない。 景時の注文は大谷が作るというのは、景時の気遣いではあるが、闘争心を煽るにはうってつけだ。 「するけど・・・ちゃんは可愛くて気が利いててさ。やっぱ梶原さんを拝んどこう」 二人が座っていた席で片付けをしながら一礼をする大谷。 「拝むくらいなら彼女に電話しろ。それに合う豆、サービスしてやるから。彼女に飲んでもらえ」 ぺちりとマスターに額を叩かれる大谷。 「厳しいなぁ。ま、ちゃんたちの話をすれば許してくれるだろうし」 手早くメールを打つと、すぐに返事が来る。 「マスター、仲直り完了」 「そうか。それはよかったな」 こうしてこちらも無事にクリスマスが迎えられた。 「景時さん」 「なあに〜?」 一通り荷物を部屋へ運び込み、リビングでが正座をしている向かいに景時も正座をしている。 「ちょっとだけ・・・秘密があります」 「ちょっと・・・ならいいよ」 拍子抜けな返事に、が窺うようにさらに続ける。 「本当はたくさん秘密かも?」 「たくさんかぁ。それは考えちゃうな?」 そう言ってはいるが、やはり景時の態度は変わらない。 「・・・怒らないんですか?」 「うん。・・・あ!ちゃんがオレを嫌いになったという話じゃなければね」 「そんなのないです!」 膝立ちでが否定する。 「それならいいよ。ほんとに」 にこにことしていてまったく動じていない景時。 かなりあやしい行動をしているのに景時からの質問がなく、の方が不安だったのだ。 「今から出かけましょう」 「え〜〜っ。寒いよ?」 なんとも正直な答えに、が笑ってしまった。 「寒いけど、寒くていいの!出かけるんです。支度してください」 「支度〜?寒いのに〜?何か買い物忘れちゃった〜〜?」 支度は行き先に寄る。 帰宅したばかりで支度といわれても、このままで十分なのだ。景時にとっては。 「ちょ〜特大の秘密を明かします。今から京へ行きます。向こうでクリスマスなの。だから」 「・・・・・・クリスマス、みんな知らなくない?」 もっともな意見にが頷く。 「いいんです、知らなくて。お正月は皆も忙しいだろうから。今は京にいるみたいなの。 鎌倉のお家じゃなくて、京のお家の方に行きますからね」 「・・・・・・鎌倉じゃないと、嫁さんの紹介が出来ないなぁ?」 顎に手をあて、真剣に悩んでいる風の景時。 少なくとも政子には紹介しないと、その後の報告が途絶えてしまっている。 「・・・その件は、また皆が鎌倉にそろっていそうな時にまとめてで」 「・・・だよね。京は・・・寒そうだなぁ」 景時が言っても、いまひとつ説得力にかける。 コートこそ着てはいるが、中は薄着なのだ。 曰く、こちらは暖かいらしい。 「とにかくですね?夕方に迎えが来るので。白龍ですけど。全部持っていくんですからね」 「これ、全部・・・スゴイね」 リビングに並ぶ紙袋の山。これをすべてだという。 「お泊りするんですから、他にも準備が必要でしょう?」 「向こうにあるものでいいかなぁ。そうしたら手ぶら?」 今度はが考え込む。 言われてみれば、景時はもともと向こうで暮らしていたのだ。 必要なものも揃っている。 も僅かな期間ながら世話になった梶原邸。 「・・・私も朔に借りようかな」 「あるよ。ちゃんの着物、きっととってある。なんだったら、向こうで買おう?」 景時が両手を広げるのが合図のように、が飛びついた。 「両方お家があって・・・なんだか嬉しいかも?」 「そういってもらえるオレの方が嬉しいんだけどな〜」 を抱き締めたまま転がる景時。 「だって、去年の約束だもの。豪華なクリスマス!」 「・・・あははは!確かに豪華だね」 金銭的な意味ではない。 豪華とは、大きな感謝の気持ち。 迎えに来た白龍の案内で、無事に京の二十二日の夕方に着く事が出来た。 |
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『十六夜記』景時蜜月ED 望美ちゃん大学生!
あとがき:年越ししてしまったクリスマスものですが。書きます、書きます。年末まで放置はいただけません(汗) (2008.01.13サイト掲載)