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 『ひまわりのタネ』  景時×望美編







「あ〜あ。くてっ・・・となっちゃって」

 太陽に向かって気合を入れて咲いていたひまわり。
 咲いた次は俯いてしまう。
 まるでもう役目を終えたから顔は上げられないといった風情が夏の終わりを告げている。

 梶原邸の庭は広く、ひまわりも望美の希望によりそれなりの場所をとって咲き誇っていた。
 咲いている時は気分がいいが、何事も終わりを見るのは物悲しい。
 物干し竿並に太い茎に触れ、このあとどうすればいいのかと望美の背よりも高くなってしまった
ひまわりを見上げていた。



「な〜にしてるの?ひまわり、終わっちゃったね〜〜〜」
 望美の背後から景時の手が伸びる。
 ひまわりは景時の身長よりも高く、景時を見下ろしている。
「そうなんです。ひまわり、大好きだからたくさんここに種を蒔いたのにぃ・・・終わりがこんなに
ガッカリだなんて、知らなかったの」
 春日家でも毎年数本が庭で誇らしげにその大輪の花を咲かせていたのだ。
 だが、花が萎れた後は望美が庭の手入れするわけもなく、ひまわりがどうなるかなど考えたことも
なかったのだ。
「そう?ひまわりはさ・・・もう少し枯れたら種がとれるから。それはそれで次の年に蒔けばいいよ」
「あっ・・・そうだ〜。ひまわりって種なんですよね。今、自分で言ってたのに・・・・・・」
 このまま放置しておけば、やがて枯れて種がとれる。

「来年はもっとたくさん・・・庭で咲くかな?」
「ん〜?一緒に春に種を蒔いたら・・・この辺り一帯がひまわりになるかな」
 さり気なく望美と共にしたい事を仄めかす。

「じゃあ!景時さんが担当。忘れないで言って下さいね。そうすれば、また夏にひまわりが見られる!」
 軽く俯くひまわりにジャンプする望美。
 俯いてしまったひまわりだが、今度は種がとれるのが待ち遠しい。

「そうだね〜。春になったら、ここへ二人で種まきしようか。今年よりたくさんのひまわりが咲くように」
 望美が来年も梶原邸にいる約束を取り付けた景時。



 来年は・・・君の特別な人になれているといいな───