褐色 9/15 「こ〜いうのもアリなんだね〜〜〜」 「そぉ〜ですよ。こうすると、ぐるぐるってなって面白いですよね」 この世界に来て何が面白かったって、何でも便利になっているのが面白くて。 かと思えば、妙なものを飲んでいるんだよね。 初めてコレを見た時には、醤油を飲むのは嫌だな〜って思ったもんだよ。 「コーヒーにもたくさん種類があるのに、飲み方まで自由なんだねぇ」 「いつ、何を混ぜても味はそんなに変わらないとは思うけど、見た目なの!」 ちゃんは楽しそうにオレに話しかける。 本日は、カフェ・ラテならぬ、後から小さなミルクを入れる技を伝授された。 「こうしてかき混ぜてからミルクをいれると、ぐるぐる渦になって美味しそうでしょ?」 流れを作ってから違う色を流し込むんだから、渦は当然できるんだよ。 だけど、ちゃんがすると魔法みたいに見えるんだから不思議。 「これ、牛乳とは違うんだよね?」 小さな容器に入っていたミルク。牛乳よりとろみがあったよな〜。 「・・・牛乳じゃ・・・ないです。けど・・・そんなの考えたことなかった〜」 引き止める間もなくちゃんが台所へ行ってしまった。 「・・・あ〜。また変なコト聞いちゃったかな」 こちらの世界へ来て、何が失敗ってちゃんに何でも聞いてしまう。 どうやらオレの疑問点は、ちゃんにとっては疑問ではないらしく、場合によっては 今のようにちゃんに迷惑をかけちゃうんだよなぁ。 「景時さん!これ。ここ読めば何かわかるかも〜」 ビニールの袋には、先ほど入れた小さなミルクがたくさん入っている。 あの状態で店で売られているんだな〜って理解した。 「ありがとう、ちゃん」 隣から袋を手渡されつつ、覗き込む視線の持ち主がいるのがくすぐったくて嬉しい。 「え〜っと・・・また変なコト聞いちゃってごめんね?」 「ううん。そんなコトないって言ってるのにぃ。私も知らなかったから興味あるんですよ!」 いつもながら嫌な顔ひとつしないちゃんに申し訳なく。 それでもオレの“知りたい気持ち”は止まらない。 「何、なにぃ〜っと。・・・・・・へ〜〜。頭イイねぇ。コーヒーが冷めないようにか」 少ない量で済むミルクなら、確かに冷めない。 成分だけ凝縮という製法があるわけか〜。ふ〜ん。こっちの世界は色々考えてるね〜。 「わざと冷ますのに私は牛乳いれちゃうケド」 「そうだったの?」 「うん。だからね、お外のラテだと機械で温かいミルクを入れるから冷めていなくて大変なの」 どうりで。 二人でカフェに入ると、ちゃんはしばらくコーヒーを飲まないでいると思った! 「熱いの苦手?」 「・・・ちょっとだけ苦手。熱いと味もよくわからないし」 「そっか。ちゃんの好みもひとつ覚えられてラッキーだったかな」 偶然だけど、いつもと違うことをすると新しい発見があり。 「それにぃ・・・栄養もあるし、黒より美味しそうに見えますよ?この色の方が!」 「かな。実はさ・・・・・・」 醤油の話をしたら君は笑うだろうか? 確かにこの褐色の方が美味しそうだけどさ。 褐色っていうのが“かちいろ”に通じていたから武具の色に多かったなんて話をしたら、 君はどんな顔をするのかな? きっと、いい方に解釈をして、また楽しいコトを考えつくのだろう。 オレの疑問も悪くはないね! |
Copyright © 2005-2006 〜Heavenly Blue〜 氷輪 All rights reserved.
あとがき:9/15の色は『褐色』でキーワードのひとつは『好奇心』。小さなミルクを関西では“フレッシュ”というの本当なのかな〜? (2006.09.01サイト掲載)