知盛の誕生日は? 「ね〜、知盛の誕生日っていつ?」 が突然話を切り出した。 「・・・なんだよ、その“たんじょうび”ってのは?」 時々わからない言葉を使う。 知盛は、必ず意味を確認して覚えるようにしていた。 「あ・・・そっか。知盛が生まれた日」 「・・・俺が?さあ。母上にでも訊けば覚えていらっしゃるかもしれないが」 この時代、まだ誕生日といった習慣はない。 生まれたものは平等に新年にひとつ年齢を重ねる。 「え〜、それくらい知らないのぉ〜」 が不満顔になった。 「・・・クッ、今度は何だよ?」 何かしたいことがあるのだろうと、肘枕で転がっていたが起き上がる。 「お祝いしたいの!生まれてきてくれて、ありがとぉ〜ってお祝いするんだよ?」 またも意味不明な事を言い出された。 は、とかく何かをしたがる。 それは、花見もそうだが、行事が好きなのだろうか? 「・・・・・・お前、何をそんなに行事に拘るんだ?」 かねてよりの疑問を口にする。 「行事?ああ、お花見しよ〜って言ったから?もちろん、季節を感じられる行事は 大好きなんだけど。誕生日は意味合い違うよ?だって、生まれてこなかったら、 私たち、出逢えなかったって事なんだから」 が知盛に飛びついてキスをした。 「ほんとぉ〜に知らないの?」 知盛の顔を覗き込む。 「・・・ああ。知りたければ訊いて来い。もっとも・・・正確に覚えているかはわから んが・・・・・・生誕日は重要ではないんだ。本人も知らないなんて普通の事だぜ?」 の腰を掴み、膝に乗せる。 「むぅ・・・仕方ない。私が決めちゃう。私が知盛を助けた日に決定!来年はお祝い しようね〜」 の腕が知盛を抱きしめた。 「・・・・・・クッ、強引だな姫君は。・・・それで?お前の“たんじょうび”とやらは、いつ なんだよ」 訊くからには、も祝って欲しいのだろうと探りを入れる知盛。 「内緒だよ。おしえな〜い。頑張って探してね?」 クスクスと楽しそうに笑う。 「・・・・・・面倒な女だな・・・」 知盛の顔も笑っていた。 知盛の生まれた日は、壇ノ浦で生まれ変わったあの日。 が決めた誕生日、三月二十四日─── |
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誕生日がわからないのですよ、知盛殿・・・。誰でも思いつきそうなネタですいません(汗) (2005.3.24サイト掲載)