バレンタイン 2009     (弁慶編)





「どうしよう・・・・・・」
 昨年の失敗を踏まえ、今年は手作りという無謀なチャレンジを避けた
 だからといって、手抜きをしたわけではない。
 デパートを梯子して、予算内で一番美味しく美しいチョコレートを選んだつもりだ。

(お誕生日と近いから厳しいんだよね・・・・・・)
 バレンタインの僅か数日前が弁慶の誕生日。
 幸いというべきか、いわざるべきかの祝日である。
 弁慶の仕事は一般の仕事と休みのサイクルが違うため、祝日が休みになるとは限らない。
 それなのに今年も一緒に祝えたのは、運がよかったと思うべきだろう。
 そこに弁慶の裏工作があったとは、少しも疑っていないがやや気の毒な気がする。
 それを知るのは幼馴染の医学部生の将臣だけであった。

「いいなぁ、将臣くんは。同じ敷地内だもんね」
 弁慶の職場は大学病院の医局および研究室。
 残念ながらは同じ大学でも医学部ではないため、キャンパスは別。
 学部によってキャンパスの所在地が違うのだから、詐欺みたいな気持ちになる。
 逆に医学部生は、一般教養をいくつかたちが学んでいるキャンパスで受けるため、
食堂で将臣にあったりする。

「バイトがんばったけど、お誕生日のプレゼント奮発しちゃったからバレンタインにまで
予算が回らないし・・・・・・」
 チョコレートの他に何かをあげたいのに、普段弁慶が身につけている様な高級品は無理。
 せめてもと考え抜いて選んだのはハンカチ。

「しかも土曜日で、夜勤の上がりが午後だなんて・・・ついてない感じぃ・・・・・・」
 土曜日のキャンパスは閑散としており、サークルやクラブ活動をしている人が少しだけ
見受けられる。
 図書館辺りへ行けば、もう少し人がいるのかもしれない。
 時間を潰すのに、大学の敷地内から中庭を抜け、病院がある方向へと歩く。
 

「な〜にブツブツいいながら歩いてんだ!」
 背後からの声と共には後頭部を掴まれた。
「・・・ボールじゃないんだから、そういう事しないで!」
 声だけで幼馴染とわかる。
 頭にある手を振り払ってから振り向くと、そこにはやはり予想通りの人物がいた。
「そりゃ悪かったな。で?お勉強って格好じゃないな。学生証は同じだから入れたのか」
「そ。だって、弁慶さん、今日仕事なんだもの。夜勤明けだから、帰ったら寝ちゃうでしょ?
ここしか渡すチャンスがないもん」
 が持っているペーパーバッグは、モノトーンのとてもシンプルなデザイン。
 この辺りで見かける色とは違っていた。

「家に置いておけばいいだろうに。合鍵もらってんだろ?」
 夜勤明けで寝てしまうとまでわかっているのに、持ってくるというのは理解できない。
「ちょっとでいいから当日に会いたいのが女の子なの!そんなんだから、将臣くんは・・・
・・・」
 続きの言葉は飲み込んだ。
 将臣の手には、しっかりといくつかのペーパーバッグがあるのだ。
 そのピンクや赤の袋は、いかにもバレンタインのチョコレートが入っている風で、思わず
目でその数を数えてしまった。

「・・・随分もらったね」
「ああ。今日、午前中に特別講義あったから。ついで?もう少し大きい袋があれば、こうバラ
バラと持たなくて済むんだけどな」
 どうでもいいことなのか、に袋の中身を見せてくれた。
 そこにはいくつものチョコレートの箱があり、袋へ無造作に押し込んだのだとわかる。
「せっかくもらったのに、大切に扱いなよ。そんなぎゅうぎゅうに詰めちゃって」
「あ?仕方ないだろ。袋つきでくれるヤツがいて、助かったぜ。俺、教科書はロッカー派だし、
手ぶらが基本だから」
 バイク通学の将臣にしてみれば、このような荷物は迷惑ともいえる。
 しかも、すべて本命扱いと考えていない様子に、の方が項垂れてしまった。

「あのね、袋つきの女の子にはちゃんとお返ししなさいね?袋はね、本命の証だから。そりゃ
気が利いて袋をくれた子もいるかもしれない可能性はあるよ?でもね、普通に義理や友なら、
そのままだから。わかってる?」
「さあな。くれるっていうからもらっただけ。断わる方が面倒だろ。で?はねぇの?」
 将臣が手のひらをの前に見せる。
「意味わかんない。いい年して、ま〜だ幼馴染にもらって数を増やしてお家で自慢?」
 ぺちりと音がして、に手を叩き落される。
「ひで〜扱いなのは、どっちだよ。ったく、送ってやろうかと思ったけど止めとく」
「頼んでない。まだ、弁慶さんに会ってない・・・し」
 ではなく、将臣が大きな溜息を吐いた。
 弁慶がもてるのは有名な話で、今日は大量にチョコレートをもらうことも予想できた。
 だからこそ、の姿をみつけた時点でこの場を離れさせようとしていたのに、引き止める
結果になってしまい裏目に出た。
 弁慶が看護師や事務員たちからチョコレートをもらっている現場に、これでもかというほど
いいタイミングで遭遇してしまった。
 ガラスの向こうの遣り取りを、足を止めてが見つめている。

「ま、あれだ。職場では普通だろ?深い意味はないって」
 他に慰めの言葉もみつからず、出来るだけ軽い調子で肩を叩く。

「かもしれないけど、受け取ってるのは事実だよ?」
 義理にしては美しすぎる包装をされたチョコレートたち。
 まさに今話に出ていたペーパーバッグに入れられたまま手渡されていたり、人がどんどん弁慶
の周囲に集まってきている。
 白衣ではなくスーツに着替えているところを見ると、帰る途中で捉まった様だ。

「だから。断わるのも面倒なもんなんだって。ひとり受け取ったら、他も断われねぇし」
「うん。そう・・・だよね。・・・ね、送ってくれるって言ってなかったっけ?」
 いかにも無理してますという笑顔で将臣を見上げてくる。
「お前な〜、今さっき頼んでないって突っぱね・・・・・・」
 鋭い視線を感じ、その方向へ意識を向ける。
 考えるまでもない。
 それはが見ていた方向なのだから、弁慶しかいない。

(・・・高くつくぜ〜?)
 の腕を掴むと、
「ほら、こい。送ってやる」
「う、うん。でも・・・・・・」
 そのまま職員通用口へと早足で進む。
 取り巻きに囲まれながら出てきた弁慶と会うまで、僅か数十秒の出来事。
 将臣が送ったのは、弁慶のもとへだった。


「よっ!お届けもので〜す。・・・お代は後でもらうからな」
 の腕を放すと、そのまま片手を上げて走り去る将臣。

さん。もしかして、待っていてくれたんですか?夜勤はなんのかんのと時間が不確定なの
で、きちんとした時間をいえなくて。すみませんでした」
 片手に大量の荷物を持った弁慶が、空いている右手をの方へと差し出す。
 が動かずにいると、弁慶がさらに数歩近づき、の手を取った。

「みなさん、こちらが僕の大切なさんです。残念ながら医学部ではないので、隣の駅にある
キャンパスの方なんですけどね?このネクタイ、みんなが褒めてくれたんですよ。誕生日に頂い
た、大切なネクタイなんだって、自慢していたところです」
 人の良い笑顔を振りまきながら、の存在を主張する。
 がどのような人かも説明を加えながら・・・だ。

「本当に女子大生だったんだ・・・・・・」
「可愛い〜。髪、サラサラだ〜〜〜」
 途端にが囲まれてしまい、どうしていいか分からずされるがままになってしまう。
「それ、弁慶さんにだよね?私たちのはちゃんにだから食べてね!」
「あの・・・・・・」
 取り巻きの一人が言った事が気になり、聞き返そうとするが、弁慶に遮られてしまった。

「そろそろ僕のさんを返していただけませんか?それでなくとも、一時間も残業しているんで
すから。ね?さ、さん、帰りましょうか。みなさん、お先に失礼しますね」
 さっさと挨拶を済ませると、人混みの中からを救い出す。
 は頭を軽く下げると、手を引かれるままにその場を離れた。



「あの・・・・・・」
「ああ、すみません。お待たせしてしまいましたね。もちろん、僕の家でいいんですよね?」
 駐車場へ向かっている弁慶は断定口調だ。
「夜勤で・・・・・・」
「そうなんです。さんと過ごしたかったのに、酷いですよね?でも、かわりといっては何
ですけれど、こうしてたくさんチョコレートをいただきましたし。許してくれますか?」
 左手を軽く上げて、に大量のチョコレートを見せてくれた。
「バレンタインって・・・・・・」
「少し待ってください。これは、こちらへ置きますから。さ、どうぞ」
 助手席のドアを開けられてしまい、いつもの癖で考える間も無くシートへ座ってしまう。
 弁慶の家に着くまで、ネクタイを褒められた話など、肝心のバレンタインとは違う話題のまま
車中で時間を過ごした。





「紅茶でいいですか?」
「あ!私がします。弁慶さんは着替えてきて?それとも、お昼にしますか?何か作ります?」
 弁慶が手にした紅茶の缶を取り上げる。
さんは?僕はお昼は済ませましたが・・・・・・」
「私も。じゃ、お茶の用意だけにしますね」
 キッチンのどこに何があるかは把握している。
 トレーをだし、茶器をだしと動き始める
 弁慶はそれを確認すると、ネクタイを緩めながら着替えるためにキッチンを離れた。



「今日はダージリン。あと二分待って下さいね」
さんが淹れてくれる紅茶は美味しいですからね。待つのは苦にならないですよ」
 隣に座り抱き寄せると、いつもなら寄り添ってくれるのに、今日は体が強張ったままで、
弁慶に寄りかかってくれる気配がない。

「あの・・・これ・・・・・・バレンタインのチョコレートとプレゼント・・・・・・」
「ありがとうございます。実を言うと、待っていたんですよ。もっとも、僕を迎えに来てくれた
時点で、胸がいっぱいになるほど嬉しかったんですけれどね」
 袋からチョコレートの小箱を取り出しテーブルへ置くと、もうひとつの包みへ手をかける。
 丁度砂時計の砂が落ちきり、はラグへ座ると紅茶を注ぐ。
 ソファーに座る弁慶の手元がよく見えた。

「素敵なハンカチですね。ありがとうございます」
「ごめんなさい。あの・・・紅茶をどうぞ」
 煌びやかな袋たちが目に入り、どうしても萎縮してしまう。

さん。このチョコレートは僕に・・・ですよね。そして、あのチョコレートは僕のではない
んです。誤解なさってるようなので、今からお話しても?」
 のチョコレートを大切そうに一粒つまんで食べ、その他のチョコレートは帰宅時に置かれた
ままの場所で、気にしている風でもない。


 弁慶がもらっていたのに、弁慶のではない───

 なぞなぞがひとつといったところ。
(弁慶さんに橋渡しを頼んだとか?)
 だったら、弁慶は慌てなくてはならない。それを渡しに行かねばならないからだ。

(余ったから?)
 豪華なチョコレートは、余るにしては立派過ぎるし、日付もまだ十四日。


 答えを考えては消去しと、百面相をするが可愛らしく、少しだけ見守ることにした弁慶。
 不安にさせるのは本意ではないので、すぐにヒントを追加した。

さん。あの雑誌にあるものばかりですよ」
「あの雑誌って、私が置いていったのだぁ・・・・・・」
 マガジンラックから、先週が眺めていた雑誌を手に取る。
 表紙には、バレンタイン特集と冬ダイエットの大文字が踊っているが、迷わずバレンタインの
ページを開く。
 弁慶の方を振り向くと、
「並べて確認して下さい。僕はこちらを頂きたいので」
 変わらずからのチョコレートを食べては紅茶を飲みと、ゆったりと過ごしている。

「じゃ・・・ちょっとだけ」
 開いたページあるチョコレートを、テーブルの端から順番に並べていく。
 うまい具合に同じモノはなく、また、特集されているものからそれ以外まで、チョコレートが
揃ってゆく。まるで売り場の様だ。
 この雑誌にある高級チョコレートと、他にもどこかで特集されていたのであろうそれら。
 そもそもこの雑誌が弁慶の部屋にあるのは、が弁慶の好みを探るために一緒に眺めたからだ。
 雑誌と同じものがあるのはわかったが、答えには繋がらない。
 いよいよ腕組みをして唸り始めると、弁慶が笑いながら膝を叩いた。

さん。僕はまだ一番大切なものをいただいていないんですが、こちら来ていただけますか?」
 口調は丁寧だが、指示された場所は膝の上。
 気恥ずかしいがここで拒否しても、最後はいつも誘導されてしまって彼の思い通りだ。
 ならばと思い直し、素直に膝へとおさまった。


「あのぅ・・・大切なものって?」
「ええ。貴女の気持ちはここにいただけたのですが、言葉がまだのようですよ?」
 自分の胸元を指してから、ちょんとの鼻先に弁慶の指が触れる。

「それに、このチョコレートはさんへの贈り物なんです。みなさん、僕のさんに会いたいと
おっしゃるから。僕へのチョコレートを決めようと一緒に雑誌を眺めながら頑張っているけれど、
さんはチョコレートが大好きなので、食べたそうなのがもっと可愛らしくてって話をしたんです。
残念ながらバレンタイン当日は夜勤明けだから、きちんとデートの約束が出来ませんでしたとも」
 ますますが首を傾げている。

「出来れば、僕の方がさんにチョコレートを贈りたいのに、買いに行く暇もないんですってね」
「えっ?」
 そういえばと、取り巻きの看護師の一人の言葉を思い出す。

 『私たちのはちゃんにだから食べてね!』

「イベントだから、普段のお礼に僕にくれるつもりだったらしくて。そういう事ならと、さんが
喜ぶチョコレートをと、皆さんで相談して決めてくれたみたいです。見事にバラバラのチョコレート
が揃ってますね。何でも、並んだのもあるらしいですよ?」
 食べたいと思っていたのを気づかれていた恥ずかしさと、弁慶のちゃっかりぶりに赤面してしまう。

(これじゃ、弁慶さんは食べなくて、私が催促したみたい。きゃぁぁぁぁぁ)
 必死に頬へ手をあて冷ますが、まだまだ赤みは残っているだろう。

「で、でも、チョコはわかりましたけど、私に会うのとは繋がらないです」
「それこそ簡単ですよ。僕のさんはとても優しいから、僕の仕事が終わるのを待っていてくれる
かもしれないですね、と。ね?そういうわけで、あれは、さんに会うための通行料みたいなもので、
僕にではないんですよ。僕は絶対に皆さんに会わせたくなかったのに、将臣君のお陰で噂が広まってし
まったので、仕方なく」
 普段からこれでもかというほど惚気ていたのだが、弁慶の恋人が女子大生と知られてしまったのは、
実習見学で病院棟へ来た将臣の所為だ。

「噂って?」
「ええ。とても美人で優しい彼女に、女子大生が追加されまして。写真はないのかだの煩くて困って
いたんです。医局には若いドクターもいますしねぇ、本気で見せたくなくて隠していたんですよ。
でも、女性陣にはさんを隠す理由もないので、会いたい方はどうぞって。幸運な人たちは、今日
さんに会えたと、そういうわけです」
 普段の日ならば、こうも上手く女性陣にのみと会わせる事はできない。
 バレンタインだからこその男性心理を利用し、仕向けたのだ。
 この日ばかりは他人を構う余裕はない事を計算して、夜勤もあえてそのままで変えなかった。

「お医者さんは人気がありますからねぇ。ましてや、大学病院だと研修医も多くて。心配で胸が潰れそ
うでしたよ」
「別に・・・私は普通ですけど・・・・・・美人でもないし、優しくないです」
 溜息と共にを抱き寄せる。
「自覚がないから心配しているんですけどね。と、いうわけで、許していただけますか?」
「えっと・・・はい」
 からのチョコレートだけを食べきってくれた事。
 将臣が言うのが正しければ、受け取らない選択肢はないのだろう。
 その選択肢の主旨を変えて他の人からのチョコレートを受け取ってくれた事。
 すべての気持ちを考えてくれた証し。

「弁慶さん。大好きです」
「ふふふっ。ようやく言ってくれましたね?嬉しいですよ。ただ、もう限界かな。このまま休ませて
下さいね?」
 を抱え込んだままでソファーへ背を預ける弁慶。
「だめ、だめっ。ダメです。ちゃんとベッドで寝てください。こんなんじゃ疲れがとれないです」
 の願いは大抵の事なら聞き入れてくれる弁慶だが、時々思わぬ反撃をくらう。

「・・・いいんです。僕はこのままがいいと言ったでしょう?」
「そんなっ・・・・・・」
 目蓋を閉じてしまう弁慶を、必死に揺り起こす。
「起きて下さい。私じゃ運べないもの。ね〜、弁慶さん」
 まだ眠っていないのはわかっている。それなのに、返事もしてくれない。
 こうしては狼さんのもうひとつの罠にかかる。

「私も一緒にお昼寝しますからぁ。ねぇ、起きて下さ・・・・・・」
「最初からそう言って欲しかっただけなんですけどね。ひとり寝は寂しいものですよ?」
 横抱きにして寝室へ運び、をベッドへ下ろす。

「目覚めた時に君がいないのは嫌なんです」
「・・・わかりました。仮眠できなかったんですね?」
 笑顔で告げる弁慶の、僅かに違う言葉の響きを瞬時に感じ取る。

「おや?よくわかりましたね。冬は・・・色々あるんです。研究の方はひと段落しているから、これでも
マシな方なんですけどね」
「もう!まるっと一日寝てないって、弁慶さんこそ最初に言って下さい!はい、ここ。横になって」
 叩きながら示された定位置に、先に横になる。

「強がりばっかりなんだから〜。はい、目も瞑るんです」
 の手のひらで覆われた目の辺りが温かく、訪れていた眠気が一気に押し寄せる。

「もぉ〜〜〜。普段はとっても大人なのに、どうして突然コドモになっちゃうんだろ」
 弁慶がもう眠っていると油断してか、言いたい放題だ。

(貴女にだけ・・・ですよ。こんな僕を見せるのは・・・・・・)
 髪に触れる優しい手の感触と声の響きが心地よく、そのまま深い眠りについた。



「寝たかな?・・・弁慶さんの髪、柔らかいから絡まっちゃうんだよね」
 結んでいる髪ゴムを緩めてやるだけにとどめる。
 解いてしまうと絡まるし、結んだままでは痛くなるからだ。

「弁慶さんの意地悪〜。あんなにチョコ食べたら、太っちゃうよ?雑誌にダイエット特集があったって、
間に合わないよ。あんなにたくさん」
 一ヶ月は買わずに済みそうな量のチョコレート。
 弁慶はもともと甘いものは食べないのだから、がひとりで食べる事になるだろう。

「用意されちゃったもの、いらないって言い難いですよね。みんなの気持ちを考えて・・・・・・」
 職場の人たちとの関係も、との関係も壊さずに済む。
 弁慶自身は欲しくないけれど、恋人への土産としていいならば受け取りますという、言葉の意味。
 恋愛感情は不要と牽制しつつ、義理やイベントは否定しない。
 
「焼きもちやいて、ごめんなさい」
 弁慶の頬へキスすると、隣へ静かに潜り込む。



 今日会えれば、それだけで十分───










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弁慶さんは軍師様ですから。周囲を上手に巻き込みつつ、不要なものはブロック!後で将臣くんはいぢめられるんです、じんわりと(笑)     (2009.02.09サイト掲載)




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