まぶしい夏





「今日も元気にぃ〜、咲いてねっ!」
 ヒマワリにせっせと柄杓で水遣りをする
 夏は何が楽しいといって、水を使う仕事ほど楽しい仕事は無い。

!朝から遊ばないで、こちらも早く」
「おっけー!午前中には乾いちゃいそうだよね」
 洗濯物を景気よく干していく。
 日差しが強いために、早ければ昼にはすべて乾いてしまう夏は仕事もはかどる。

「それにしてもさぁ〜。朔って涼しそうな顔してるよね。着物って暑くない?」
 手団扇でが隣で洗濯物を干している親友に問いかける。
「あら。夏用ですもの涼しいわ。は暑いの?」
「うん。めちゃあつぅ〜。今年こそ・・・お裁縫が上手になった今ならアレができるかも!」
 突然手を叩くが出した音に、朔が肩を揺らした。

・・・アレって・・・・・・」
「もちろん!景時さんのお古で夏着をつくるの。モモ〜!今日はソコがいいの?」
 木の枝で風が通り抜けるのを楽しんでいるらしいモモ。
 高いところは風が吹いている様で、緑の葉が揺れている。
 モモはの声がすると、ひらりとの肩へ向けて枝から飛んだ。

「いいなぁ、モモは。私も木登りしちゃおうかな?風があるんだよね〜」
 梶原邸の庭は広い。
 中々に空高く伸びた木がそろっており、チョビとモモの遊び場には困らない。
!お願いだから危ないことは止めてちょうだい!」
「はぁ〜い。景時さんに心配かけちゃったら悪いし・・・木登りは我慢しま〜す。じゃあね!」
 肩にモモを乗せたままでが庭を走り去る。


「・・・お古はいいのだけれど。兄上の病気が出そうだわ」
 今ではにベタベタと付きまとっている景時だが、昔はの事をまともに見られなかったのだ。
 まともに見たが最後、辺りに鼻血を撒き散らしていた。
 それを掃除するのが朔や譲の役目だった。
「そうヘンな夏着にはならないでしょう」
 朔が想像できる範囲は、景時が着ている服までだ。
 よもやスリップドレスタイプのワンピースが完成するとは、この時点では誰もが想像出来ないでいた。







「ね、この色可愛いよね。元気にオレンジ〜。景時さんのお古を使うのはちょっと無理そうだもん」
 始めは景時のお古を改造してキャミソールにしようとしていたが、とサイズが違いすぎるのだ。
 新たに布を並べてモモと選んでいる。
「やっぱりぃ・・・白が涼しそうだよね。白ワンピにして〜。この黄色でひまわりの髪飾りとかどう?」
 髪を纏め上げて、ひまわりをつけたらと想像してみる。
「うん!いいかも。・・・どう、どう?ちょっと待っててね〜〜〜」
 さらさらと紙に型紙代わりにデザインを描き始める
 いたってシンプルなスリップドレスのデザインだ。
 悩ましいのはスカートの長さ。

「景時さん・・・昔言ってたんだよね・・・ミニスカひらひらが心配だったって・・・・・・」

 景時がのミニスカを心配していたというのは後で聞いた話だ。
 誰にもを見られたくなかったといわれれば悪い気はしない。が───

「あんまり長くっちゃ、暑くて意味ないしぃ」
 どこまでの長さにするか、布を当てて考え込む
 困った事に、膝上で決着したらしい。
 モモはが布を裁ち、縫っているのを眺めていた。





「出来た〜!脇しか縫わないから簡単だったね。どうかな〜」
 ファスナーという気の利いたものがないために、紐で結び上げるデザインだ。
 一人で着るためには、後ろではなくフロントにリボンがくることになる。

「どうかな〜?モモちゃん。可愛い?」
 その場でくるりと一回りしてみせる。
 ふわりと舞うスカートから風が起きた。
 涼しそうにモモが首を動かす。

「ね〜、ちゃんと見て?景時さん、これ可愛いって言ってくれそう?」
 しゃがみ込んで、床に居るモモの額をつつくと、ひらりとモモが飛び跳ねる。

「モモ?」
 ついと背を向けられ、助走をつけたモモが部屋から飛び去ってしまった。

「モモの意地悪〜!感想くらい言ってよぅ。・・・いいもん。布はあるし。洗った時に替えがないから、
あと何枚か作っちゃうんだから」
 再び床に布を広げると、先ほどと同じ手順で布を裁ち始める
 モモの行き先について、まったく気にしていなかった。







「九郎〜、脱ぎなよ。暑いならさ〜」
 胸元を寛げるだけで、額から汗を噴出しながら文を書いているのだ。
 見ている方が暑さ三倍である。
「馬鹿者!お前のように脱げるかっ」
「え〜〜〜、いいじゃないの、これでもまだ暑いよ〜?」
 すっかり陣羽織を脱いで、かなり軽い服装の景時。
 これ以上脱いだら、上半身は布が無い。いわゆる半裸になってしまう。
「・・・まったく。心頭滅却すれば・・・・・・」
「いやね?火は涼しくないよ、うん。間違いなく熱い」
 九郎が言いたいことはわかっているが、そう頑張ることは好きではない。

(どぉ〜も九郎は考えがカタイっていうか・・・真面目すぎっていうか・・・・・・)
 わざとふざけて話しかけているのだ。
 今日の暑さは尋常ではない。川の水も干上がりそうな日差しが照り付けている。
 九郎が干上がる前に、涼しい格好にさせたいのだ。

「弁慶もさ〜、九郎に言おうよ〜。ほら〜、弁慶だって被りをとってるんだよ?」
 一通り熱中症の病人を診て回った弁慶が戻ってきた。
「おや?ここは・・・外よりはマシですけれどね。そう汗をかいて水分を補給しないと、倒れますよ?」
 弁慶にも九郎の汗の流れ方が心配だったのだろう。
 そのまま素早く水を九郎へ手渡す。

「煩い!暑いからと仕事は減らないんだ!少しは真面目にし・・・ろ・・・・・・」
 そういって立ち上がった九郎がそのまま倒れた。


「水・・汲んでくる?それとも、井戸のトコで水でもかける?」
 倒れた九郎を抱き起こしながら景時は弁慶を見上げる。


「・・・そうですね。親切な忠告を聞かない九郎は井戸に突っ込んで置いて下さい。自分を大切にしない
人の面倒を看るのは・・・不愉快ですから」
 にっこりと微笑を湛えているが、目が笑っていない弁慶。
「だ〜ってさぁ〜、このちょっと強情なトコが九郎の可愛いところじゃないの!頭から水をかけるくらい
にしておくよ〜」
 軽々と九郎を肩へ担ぐと部屋を出て行く景時。
 後姿を見送りながら弁慶が大きな溜息を吐く。


「まったく・・・僕は九郎の看病は御免ですよ。駄々っ子にはいい薬です。すべてが気力でどうにかなる
ものではないと知るには、よい機会でしょうね」
 足りなくなった薬を補充すると、再び部屋を後にする。
 それこそ、京の町には病人が溢れているのだ。
 暑さで疲弊している町に戻っていった。





「九郎〜。起きないなら、もう一回かけちゃうよ〜?」
 景時の手と口はほぼ同時だった。

「まっ・・・景時っ!」
「あ、起きてたの。だったら言ってよね〜。弁慶怒っちゃったしさ。オレ、知ぃ〜らない!」
 水浸しの九郎を置いたまま歩き出すと、空から舞い降りる陰がよぎる。

「あれ〜?モモだ。ちゃんに何かあった?!」
 慌てて手を伸ばすと、ふわりとモモが着地する。
 いつのまにか景時の肩にはチョビも姿を現していた。
「ん〜?何か言いたいわけね。じゃ・・・ここで見せて〜」
 すっかり演技が上手くなったチョビとモモ。
 今回はモモによるの物真似ワンマンショーだ。
 始めは黙って眺めていたが、黙っていられない事態に遭遇する。

「ちょっと待った!それは着物ではないね?」
 どうみてもの服を着た様子がおかしい。
 着物を着て回って風が起きて涼しいというのは変だ。
「袖じゃないんだね?」
 回って見せると風が起きるという動きを再度するモモ。
 袖はないらしい。
 九郎も何か思い当たったらしく、ゆっくりと景時へ視線を向ける。

「景時・・・・・・その・・・・・・」
「わかってる!わかってるから!」
 神子として大活躍していた時にが着用していたミニスカならばモモの演技の謎が解ける。
 立ち上がると、九郎へ向けて指を差す。
「九郎。オレ、今日は帰るから。それと、この暑いのに自己管理できないのはどうかと思う。じゃ!」
 軽く手を上げてから走り去る景時。
 今までこんなにキッパリ苦言を呈されたことの無い九郎は、口を開けたままその場で呆然としていた。





ちゃ〜〜ん!どこ?ちゃ〜ん」
 馬から降りると、そのまま庭から家の中へ駆け込む景時。
 何事かと梶原邸に勤めている者たちは一瞬身構えたが、景時の発する言葉で謎が解け、あっさり各自
仕事に戻る。
ちゃ〜ん!足は出さないでってお願いしたよね〜?」
「景時さん!そんな変な事叫びながら私を探さないで下さいっ!」
 簀子を走り回る景時の前に立ちはだかる
 その姿は、仕上げたばかりの白のスリップドレスのようなワンピース。
 スカート丈はミニよりは長い程度。

「うわぁ!!!何て格好を・・・・・・っと・・・ダメだ」
 ガクリとその場で膝をつく景時。
 が駆け寄ると、遅れて朔が簀子を小走りにやって来た。

「景時さん?どうしたの?こんなに暑いのに走るからだよぅ。貧血かな?どうしよ〜、朔ぅ〜」
 うずくまったままで動かない景時。
 朔の肩には、主の帰宅を知らせたモモがいる。
 一方のチョビは、景時の頭付近の簀子で軽く飛び跳ねていた。

。大変言いにくい事なのだけど・・・貧血ではないと思うの。ある意味このままでは血が足りなく
なるから・・・着替えてきてちょうだい」
「へ?景時さんの貧血とこの服・・・関係ないよね?」
 白い服が日の反射で眩しくで貧血したのだろうかと首を傾げる

「兄上・・・その・・・が居ない方がいいわね?」
 景時の頭が僅かに動く。
「ええっ?!私がいたらダメって・・・どうして?ね、景時さん!」
 が景時の背を撫でる。


「ごめ・・・ちゃん・・・・・・鼻血・・・出た・・・・・・」
 うずくまっているために篭もった声だが、にもしっかり聞えた景時の声。


「どうしよ〜。景時さんが死んじゃう!暑くて大変だったんですよね。えっと・・・これ!これね?」
 とりあえずは手に持っていた布の切れ端を景時に渡そうとするが、景時は動かない。


「朔・・・ちゃんが・・・汚れちゃう。向こうに・・・・・・」
 このまま再びを直視しようものなら、意識を手放す結果も考慮しなければならなくなる。
 必死に妹を呼び、なんとかに離れて欲しいと言葉を選ぶ。


「兄上。いっそ顔を上げてはいかが?・・・顔中真っ赤でもは平気ですって」
 暑さの所為で朔もやや投げやり気味である。
 景時がもごもごと何かを言っているが、先程より篭もってしまい聞き取れなくなった。


 いつの間にやら姿を消したモモが、譲を連れて戻ってきた。
 譲の手にはしっかり小さな桶と手拭がある。


「景時さん。これ・・・手拭ですから。まずは冷やさないと。先輩は朔殿に頼みますからね」
 ようやく景時が譲から手拭を受け取る。
「と、いうわけで。朔殿は先輩を連れて向こうへお願いします。・・・チョビもわかってるなら早く俺を
呼びにこいよな〜。景時さん、もう限界じゃないか」
 景時の頭上にいるチョビの額を軽く指でつつく譲。チョビが額を押さえて丸まった。


「・・・わかったわ。、向こうへ行きましょうね。それに、チョビとモモもいらっしゃい」
「やっ・・・そんな・・・朔ぅ・・・・・・」
 有無を言わさず朔に連行される
 二人の足音が遠ざかったのを確認すると、景時がその身を起こした。


「助かった〜、ありがとう」
「いいえ。でも・・・あれでも先輩なりに考えたんだと思いますよ?一応ワンピースでしたし」
 景時の鼻血大量放出の理由がすぐにわかった譲。
 もう片方の手で持ってきていた雑巾で鼻血の始末を始める。

「ええっ!?あんなに胸元開けちゃって、足出しちゃってるのに?もう・・・夜着の単よりすごいよ?」
 景時の基準はあくまで着物なのだと思い知る譲。
「まあ・・・夏場の格好は、景時さんの上に着ている服と昔のミニスカより短い短パンという事もありましたし。
説明したら、また景時さんが鼻血を出しそうなので詳しくは聞かないで下さい」
 眼鏡をかけなおしつつ、の弁解をしつつと譲は忙しい。
「うっそぉ!あんなの・・・裸より性質が悪いって。ひらひらが・・・ふわふわが・・・・・・あっ」
 景時の声で譲が振り向く。
「いいからココを抑えて上!上見てて下さい」
 景時の顔に手拭を当てたままで上を向かせる。
「ん・・・ごめん。困ったなぁ・・・あの服・・・・・・」
 目を閉じても目蓋に焼き付いている。
 ぼんやりまだ青さが残る空を眺める。


「景時さん。先輩は・・・景時さんに見て欲しくて頑張ったんです。この暑い京で、どうにか涼しく過ごそうと
先輩なりに。少しだけ感覚が景時さんたちとズレちゃってますけど。それは・・・なんていうか・・・・・・」
「うん・・・わかってる。でも・・・見せたくないんだ・・・・・・」
 京に留まるのはにとって景時が考えるより大変なのだろう。
 クーラーという温度を保つ機械など、景時には作りようが無いのだ。

「景時さん・・・先輩は景時さんの奥さんですよ?もう少し自信と余裕を持たないと」
「持たないと?」
 譲が言いたいことがわかりそうでわからない。

「やってるコト、めゃくちゃですけど。先輩はここに留まりたくて頑張ってるんです。もう少しだけ・・・・・・
景時さんが気持ちを譲ってくれたら先輩も嬉しいんじゃないかって思いますよ」
 雑巾を搾り出すと、仕上げとばかりに磨きの体制に入る。
「うん・・・・・・そう・・・だよね。オレが悪いんだ。だって・・・誰にもちゃんを見せたくないくらいの
醜いヤキモチ・・・・・・」
「まあ・・・先輩もどこか幼くて・・・わかってるんだか、わかっていないんだかってトコありますけどね。
昔よりはマシですよ。見せパンを見せて歩くようなことはしなくなったし」

 何もスカートを捲りあげて見せずともいいだろうに、景時に見せパンを披露したこともあったのだ。
 水着で隠す部分さえ隠れていれば後は問題なしという考え方が悪いわけではないが、足すら見せないこの時代。
 の感覚は、はしたないを通り越してわいせつですらある。

「・・・九郎がさぁ、今日倒れたんだよね。この暑いのに直垂をきっちり着込んでいて」
「そうですか。九郎さんらしいなぁ。それで?」
 景時の顔から手拭をとり、様子を窺う譲。
 もう一度手拭を裏返してあててやる。

「うん・・・井戸で頭から水かけた。かけたんだけど・・・ちゃんだって着物じゃ暑くて倒れちゃうよね」
 景時が視線で譲に答えを求めているのがわかる。
 答えはでているのだろうが、認めて欲しいといったところなのだろう。
「ええ。この邸内ならば・・・いいんじゃないですか?警備の者だって、何もそう母屋の近くにいないといけない
ものでもないですしね。それに、しっかり者の朔殿もいるでしょう?」
 景時の考えを先に言ってやる。

「うん。そ〜する。ありがと〜、譲君。いつも本当にごめんね〜?」
 手拭で顔を綺麗にしてから景時が頭を下げた。
「そんな事はないですよ?俺だって景時さんを頼りにしてますし。景時さん?あまり興奮するとまた鼻血出ますからね」
 しっかり景時に言い含め、雑巾と桶を持つと軽く頭を下げてその場を辞した。



「そうだねぇ・・・でも、興奮・・・しちゃうでしょ」
 の真っ白なワンピース姿は実に見応えがある。
「よいしょっ・・・と。部屋に行きますか」
 目指す部屋は今景時がいる簀子から一部屋先になる。静かに簀子を歩くと、部屋の入り口で声をかけてから入室した。





「あの・・・オレね・・・・・・」
 まだ着替えていないと朔が向かい合って座っている。
 どうやら朔の説得は不発に終わったらしい。
「・・・兄上・・・その・・・・・・」
「うん。大丈夫だから。後は・・・さ」
 景時が頷いて見せると、朔は部屋を出て行った。


「景時さん・・・大丈夫?」
 まるで何事もなかったかのように立っている景時にが声をかける。
「う〜ん。大丈夫・・・とはいえないけど、いまは大丈夫。たぶん・・・・・・」
 視線を少しだけ外しながらを抱えて座る姿勢を取った。



「あの・・・さ。その服・・・とっても可愛いんだけどね?」
「・・・うん。朔に・・・出来れば着ない方がいいって言われました」
 を抱える姿勢をとってから、背中まで丸出しなのだと初めて気づいた景時。


(これは・・・なぁ・・・・・・うん。心臓に悪い・・・・・・)
 なんとも複雑な思いがするが、暑さでが倒れるのは本意ではない。


 その時、他にも作っていたらしい服が景時の目に留まる。


(やっぱり・・・暑かったんだよね・・・・・・これと同じ服なのかなぁ・・・・・・)
 もう一着たたんであるらしい服。ひまわりの髪飾りのようなものまで置いてある。



「邸の中限定でなら・・・いいよ?その・・・警備の者にもこの部屋の近くには来るなって言っておくし」
 景時の言葉にが振り返った。
「いいの?これ着ても・・・・・・」
「うん。暑いだろうし。この服はとても素敵だと思う。ただね・・・他の奴にはちょっとも見せたくないってだけ」
 出来るだけ自分の気持ちに近い言葉を探す景時。
 景時とてが着飾っているのを見るのが嫌なわけではない。
 問題は、景時以外の視線なのだ。

「これ・・・似合ってます?」
 の想像では、景時が両手を広げて抱きしめてくれる予定だったのだ。
 まさか簀子でうずくまられ鼻血を放出し、朔に服を着るなと言われるとは考えもしなかった。

「似合ってるよ。ただね・・・これ・・・どうやって着るの?」
 一枚の布なのだろうとは思う。何となく疑問に思って口から出ただけなのだが───

「これ。この胸の紐がこう合わせた布を結んでいて・・・・・・」
 紐の端を摘まんでみせる
「これ?ふ〜ん。これがねぇ・・・・・・」
 人間、紐があれば引きたいもの。
 つい紐を引いてしまった景時を責めてはいけないとは思うのだが、結果はいかにもわかりやすく。

「きゃっ!何してるんですか!!!」
「うわぁ!ごっ・・・ごめんっ!・・・・・・待って、結ぶから」
 せっせとの服の前を合わせて結ぶ景時。
 仕上げはそのままを抱きしめた。


「ね・・・夏は夜も暑いよね?」
 景時の言いたいことがわかり、の耳が赤くなる。
「夜は・・・何も着なくてもイイよね?」
 ここぞとばかりに景時がお伺いを立てると、が小さく呟いた。


「・・・景時さんの・・・えっち・・・・・・」
「うん。そうなんだ・・・この服の脱がせ方も・・・わかっちゃったみたい・・・・・・」





 景時たちの部屋の外では、チョビとモモが人が来ないよう見張りつつ、欄干の上で仲良く風を楽しんでいる。
 どうにか丸く収まった二人のために、いちおうは頑張っているらしい。

 夏の午後の過ごし方は、暑くても涼しくてもご自由に───






Copyright © 2005-2006 〜Heavenly Blue〜 氷輪  All rights reserved.


夏は暑いのです。望美ちゃんが京の夏に耐えられそうには思えず。そして、現代の夏の装いに景時くんも耐えられなさそうかな〜と。     (2006.09.01サイト掲載)




夢小説メニューページへもどる