八月生まれの貴女へ





 毎日暑いよね〜。
 なんでも、ちゃんは夏休みというものらしい。
 だけど学校へ行ってる。

「夏休みって・・・休みっていうんだから。休みじゃないの?」
 学校帰りのちゃんと、待ち合わせしていたケーキ屋さんで。
 よく考えたら変だなぁ〜って。
「えっとね、高三は受験があるから。補講があるんだよ〜。いちおう大学へ
行こうかなって。そうしたら・・・・・・」
 
 何?何、何、なに?大学って、そんなに赤くなるような場所なのっ?!
 オレの動揺ぶりが伝わったのか、ちゃんがオレの手に手を重ねる。

「あのね、働いちゃったらお休みが合わなくなるけど。大学生って時間が
自由なんだよ?だからね、もう少しだけ景時さんと、たくさんお出かけしたり
したいなぁ〜って」

 じわわ〜んときた。そっかぁ。
 でもなぁ・・・だったらお嫁に来て欲しいよ。
 そしたら、毎日一緒だよ?



 オレは欲張りで。ちゃんともっと一緒にいたいんだ───



「おい、おい。大きな溜め息だなぁ〜」
「うん。結婚したいなぁ〜って思う娘がいるんだけどさ・・・彼女はそうは思って
ないみたいで・・・・・・」
 へなへなとテーブルに突っ伏した。
「あっはっは!だったら、誕生日に指輪でも贈ってみたらどうだ?」
「・・・・・・何、それ」

 そのまま同僚の話を聞いた。彼の奥さんは、同級生だったんだってさ。

「うわぁぁぁ!」
「・・・なんだよ。ほんっと落ち着きないなぁ」
 いや、ほんと!そんな場合じゃない!
「彼女の誕生日、八月だった!!!」
「・・・あほ。行って来い、残業代わってやるよ」

 心優しい同僚に見送られて、オレはジュエリーショップを目指した。



「でしたら・・・誕生石などは?」
 何ソレ?石が生まれるの?オレのわかってない具合が店員さんに伝わったようで。
 しっかり説明してくれた。
「誕生石というのは、生まれ月にちなんだ宝石の事をいうんです。だから、十二ヶ月分
ありまして、八月はペリドットなんですよ。宝石言葉もございます。『夫婦の幸福』と『和
合』が代表的です。古代エジプトでは、暗闇に光さす石として大切にされていました」

 並べられた指輪の数々。
 これだ〜!これがいいよ。いや、これしかないっ!



 お誕生日おめでとう、ちゃん。
 オレの気持ちに気づいてくれると嬉しいな。






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 あとがき:今回は指輪でv いいですね〜“暗闇に光さす”ってとこがピッタリ!と思いました。     (2005.8.8サイト掲載)




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