ある晴れた日に ≪景時side≫





 皆で朝餉を食べている時、ちゃんが俺に言った。
「景時さん、お休みってないんですか?」
 こ、これは!?もしや、初めてのお願いなんじゃないか?

 ちゃんは、我侭を言わない。
 すっごい優しい子だから、先にオレの気持ちを考えてくれちゃう。
 オレの嘘なんて、簡単に見抜かれちゃうしさ。
 オレは、この願いは叶えねば!と思ったね。
 天気も良さそうだし。
 とりあえずは『一度九郎のところへ行って、きいてみるね』と家を飛び出した。
 
 九郎には、『今がどういう時期かわかっているな?』と言われたけど。
 オレは嘆願した。これだけは譲れない。
 彼女が口にしたということは、昨日今日思っていた事じゃないはずだ。
 恐らく、ずっと悩んでいて、やっと言い出してくれたんだ。
 そりゃもう、必死。九郎が嫌がるまで拝み倒した。
 軍奉行のオレの土下座姿。すごい見世物を披露してみた。
 わかってるけど。今日一日は大目にみてよ。

 ものの半時で家に帰ると、ちゃんが驚いていた。
 まだ洗濯物は干し終わっていない。それくらいの時間。
 たしか、ちゃんのところではこう言うんだったよね。
「デートしよ?」
 ちゃんの手をとると、オレは朔を呼ぶ。
 出かけるから、後はよろしく。
 勝手にいなくなると叱られるからね。
 強引に行かせてもらう。
 もう手は繋いだ。次は・・・・・・こほん。ここで書くことではない。
 
 二人で賀茂大社へ向かう。あそこは、近くに川もあって。
 緑も多くて。空がとてもよく見えるんだ。
 歩きもいいけど、馬の方が密着度は高いでしょ?少し遠いしね。
 降りたらまた手を繋ぐ。
「ね〜、ちゃん。何かオレに言いたいことなぁ〜い〜?」
 ほんとうは、休みじゃなくて言いたいことがあるんだと思って。
 オレは家から連れ出してからきいたんだ。
 そうしたら・・・・・・
 ちゃんが、ちゃんが・・・・・・
 オレとこうしたかったんだって!
 つまりは、婚儀の前に恋人っぽいことしたかったなんて。
 可愛い、可愛すぎる!
 だよね〜、なんかとんとん拍子に話が進んじゃって。
 なにもかもすっとばしすぎだとは思っていたんだよ?
 でもね。ずっと変らないんだ。
 婚儀の後でも、こんな風にデートしよって言った。
 ちゃんがキラキラの笑顔で喜んでくれた。
 今だ!今だって!
 もう一人のオレが、叫ぶ。
 オレは・・・・・・
 しっかりちゃんの唇を頂いた。
 ほんとはもう頂いたことあるんだけど。アレ、秘密だし。
 
 青空の下で膝枕もしてもらって。
 近くの茶屋で、お菓子とお茶を楽しんで。
 君が笑ってくれるなら。
 いいんだ、それだけで。
 明日は九郎の雷だろうけど。
 いいよ、それくらい。
 九郎もさ、大切な人見つければわかるよ〜って教えてあげよう。
 オレのココロは、この空ぐらい広くなってる気がする。
 少々のことではへこたれない。
 次のデートは何処がいいかな〜。
  





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≪景時×神子に30のお題≫の続編風で

 あとがき:まずは景時くんから。何でもしてくれそう(笑)     (2005.2.26サイト掲載)




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